「ファーストキスはレモンの味」なんてフレーズがある。レモンじゃなくてイチゴかなんかだったかもしれないが、とにかくサワヤカなフルーツ味。
「君の瞳にカンパイ!」みたいなもんで、こういうのって昔はそれなりに真剣な言葉だったのだろうが、手垢にまみれてしまって今やギャグにしかならない。小学3年生の女の子にすら、フフンと鼻で笑われてしまいそうだ。夢のない時代である。
子ども用ハミガキじゃあるまいし、本当にレモン味のキスというのはまずないだろうが、小さい女の子がそういう夢やロマンを持つということは、まあ、かわいらしくていいことだとは思う。
とは言っても、オトナの女性に「どんなキスが好き?」と聞いて、真顔で「レモン味」と答えられたらかなりコワイ。ほとんどサイコホラーの世界である。かと言って、「えーっと、やっぱり舌使いが・・」などとウンチクを聞かされてもなんとなくゲンナリしそうだ。
映画の中のキスシーンというのは腐るほどある。名場面も数多い。「汚名」(1946年、米、アルフレッド・ヒッチコック監督)の長い長いキスシーンなんかが有名だが、他にもまだまだあると思う。だが、それらが現実に参考になることはまずない。
少年時代の私はいろいろな映画のキスシーンを見ながら(「ニュー・シネマ・パラダイス」のトト少年のように!)、実際にキスする時に向けて想像をたくましくしていたものだが、はっきり言って何の役にも立たなかった。まあ、そんなものだ。
さて、「バンディッツ」である。主役はジョー(ブルース・ウィリス)とテリー(ビリー・ボブ・ソーントン)の2人組。一緒に脱獄し、コンビで銀行強盗を始める。ジョーは女好きで、勢いだけで突っ走るタイプ。テリーは強盗なんかに手を染めてるのが不思議なほどの小心者で心配性だ。正反対の2人がピッタリかみ合って、まさに絶妙のコンビになる。
狙いをつけた銀行の支店長を犯行前夜に誘拐し、翌朝一番で一緒に出勤して金庫を開けてもらう、というスマートな手口で犯行を繰り返す。
このコンビに割って入り、2人の心をかき乱すのがケイト(ケイト・ブランシェット)だ。欲求不満気味のフツーの主婦なのだが、ひょんなことから2人に合流し、刺激を求めて行動をともにする。
単純で女好きのジョーはすぐにケイトに惚れてしまう。ケイトもワイルドなジョーにゾッコン。相棒のテリーは2人のアツアツぶりを見て「仕事」に差し障りが出るのでは、と心配するのだが、そうこうしているうちに彼のほうもケイトの魅力にコロッとマイッてしまう。ケイトを挟んでにらみ合う2人。鉄壁のコンビにも次第に亀裂が入ってくる。
そんな2人にケイトは言う。
「ジョーもテリーも、2人とも好きなの!」
こういう女が一番タチが悪い。しかし、それだけに魅力的でもある。
ケイトに惚れたジョーのセリフが面白い。
「彼女のどこがそんなにいいんだ?」と突っ込まれ、興奮気味にケイトの魅力を語るジョー。
「とにかくキスが最高なんだ!」
「・・どんなふうに?」
「だ液の量がすごく多い!」
言われてみれば、ナルホド!という気がする。「レモン味」に比べるとかなりリアルだし。そのうち試してみようっと(=新年の抱負)。
話は変わるが、この映画のブルース・ウィリスはなんと長髪である。長髪を後ろで束ねた髪型。私の記憶が確かならば、彼には束ねるだけの髪はなかった気がするのだが。「植えた」のだろうか? 気になる。
Text by 輝
(2002年メルマガ収録)
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